中古一戸建ての耐震性は大丈夫?安心のための耐震補強ガイド

近年、新築よりもコストパフォーマンスに優れた「中古戸建て」を選ぶ人が増えています。それに伴い、「この家の耐震性は本当に大丈夫?」と不安を感じる声も多くなっています。

実際、政府の地震調査委員会(2022年)によれば、今後30年以内にマグニチュード7.0〜7.5規模の地震が発生する確率は、与那国島周辺で90%を超え、沖縄本島に近い南西諸島北西沖でも同規模の地震が60%程度と予測されています。このような状況からも、住宅の耐震性能を確認し、必要に応じて補強を行うことは欠かせません。

この記事では、中古住宅における耐震性の現状と、どのように補強すれば安心できる住まいになるのかについて、わかりやすく解説していきます。地震に備えた住まい選びの参考に、ぜひお役立てください。

建物の耐震化が抱える現状の問題

地震大国・日本では、住宅の耐震性を高める取り組みが長年にわたって行われてきました。国土交通省では、もともと2025年までに「耐震性が不十分な住宅をおおむねなくす」目標を掲げていましたが、現状では目標達成が難しいとされ、2030年までに先送りされています。

実際、全国の住宅の耐震化率は平成30年(2018年)時点で約87%、令和5年(2023年)には約90%に上昇しました。一方で、沖縄県は平成30年時点で約91%、令和5年には約93%と、全国平均を若干上回る水準を維持しています。

それでもなお、全国には約1割の住宅が現行の耐震基準を満たしていない状況であり、とくに1981年以前に建てられた「旧耐震基準」の建物には注意が必要です。家具の固定化や密集市街地の整備など、災害時の被害を軽減する対策も含め、地域全体での耐震化推進が求められています。

中古戸建を購入するなら押さえておきたい「耐震・制振・免震」の基礎知識

中古住宅を検討する際、多くの方が不安に感じるのが「耐震性」です。耐震性の診断には、壁の配置や構造から判断する「一般診断法」と、実際に建材を一部取り外して内部の状態まで確認する「精密診断法」があります。特に築年数の古い物件では、壁の強度や老朽化の度合いによって耐震性が大きく左右されます。

近年では、「耐震構造」だけでなく、「制振構造」や「免震構造」といったさまざまな地震対策技術も注目されています。ここでは、それぞれの構造の仕組みと特徴をわかりやすくご紹介します。

耐震構造|強い揺れに“耐える”ための基本構造

耐震構造は、柱や梁などの構造部を強化することで、地震の揺れに建物自体がしっかりと耐える設計です。地震エネルギーをそのまま受け止めるため揺れを感じやすいですが、建物が倒壊しにくく、安全性を確保しやすいというメリットがあります。現在の多くの住宅やマンションで採用されており、国の耐震基準を満たした設計がなされています。

免震構造|揺れの力を“受け流す”ことで被害を軽減

免震構造は、建物と地盤の間にゴムや特殊装置(免震装置)を設け、地震の揺れを直接建物に伝えない仕組みです。揺れを大幅に抑えられるため、家具の転倒や室内被害を軽減できるのが大きな特長。主に公共施設や病院、高級マンションなどに導入されています。ただし、風の影響などで建物が揺れやすくなるケースもあるため、環境に合わせた設計が必要です。

制振構造|“吸収する”ことで建物へのダメージを最小限に

制振構造は、建物内に設置したダンパーや制振装置が、地震の揺れエネルギーを吸収し、建物全体の揺れを緩和する構造です。特に高層ビルや階数の多い建築物によく用いられており、住宅の構造材が受けるダメージを減らすことができます。近年では戸建て住宅にも採用されるケースが増えつつあります。

この3種類の構造を理解し、中古物件の耐震性能を正しく見極めることで、安心・安全な住まい選びが可能になります。次は、耐震補強の具体的な方法について見ていきましょう。

中古住宅の耐震性をあげるなら耐震リフォームも!

日本では、住宅の耐震基準が時代とともに見直されており、現在の「新耐震基準」が建築基準法で定められたのは1981年6月1日です。つまり、この日以降に建築確認を受けて着工された中古住宅であれば、基本的な耐震性は備えていると考えてよいでしょう。

それでも、「地震が起きた時に本当に大丈夫か不安」「プロの目でチェックしてもらいたい」と感じる方は少なくありません。そうした場合は、建物の耐震性を向上させるための「耐震リフォーム」を検討するのがおすすめです。

耐震性を上げるならリフォームやリノベーションをしよう!

中古戸建の耐震化を考える際、特に沖縄県のような台風の通り道となる地域では、地震だけでなく強風による被害への備えも重要です。たとえば、「免震構造」は地震には強くても、強い横風によって建物の揺れを感じやすくなるケースもあります。

そのため、地震にも強風にも対応できる造りを求めるなら、「耐震構造」をベースとした耐震リフォームがおすすめです。耐震リフォームでは、柱と梁の接合部に「筋交い(すじかい)」と呼ばれる補強材を追加し、建物の横揺れに耐える構造をつくっていきます。

これに加え、基礎部分だけでなく、壁の補強や建物全体のバランスを見直しながら、総合的に耐震性能を引き上げる施工が行われます。

既存の建材に被害がないか要チェック

あわせて、建物に使われている既存の建材に劣化やダメージがないか確認することも大切です。たとえば、外壁のひび割れから雨水が浸入して内部の木材が腐っていたり、シロアリによって構造材が脆くなっているなど、見えないところにリスクが潜んでいる可能性があります。

こうした問題点を事前に洗い出し、必要に応じた補修と耐震リフォームを実施すれば、中古住宅であっても安心して暮らせる耐震性を確保することができます。

まとめ

国土交通省は、2030年までに全国の住宅から耐震性の不十分な建物をほぼゼロにすることを目指して、各種の耐震化推進策を展開しています。それでも、築年数の古い中古戸建に対して「本当に地震に耐えられるのだろうか」と不安を抱く方も少なくありません。

そうした場合には、まずは専門業者による診断を受けて、必要に応じて耐震リフォームを実施することが重要です。柱や壁の補強を行うことで、既存の建物でも十分な耐震性を確保することが可能です。

さらに中古住宅を検討されている方は、物件の耐震性だけでなく、ハザードマップを活用して地域の災害リスクもあらかじめ把握しておきましょう。万が一の際の避難経路や避難所を事前に確認しておくことで、災害時にも落ち着いて行動できます。

沖縄ハザードマップ

耐震対策が講じられた中古戸建をお探しの方、あるいはこれからリノベーションを前提に物件探しを進めたいという方は、ぜひ当社スタッフにご相談ください。お客様の安全・安心を第一に、最適な住まい探しを全力でお手伝いいたします。

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